医師ならば知っておきたい医療過誤に関する基礎知識

データで見る医療過誤訴訟の件数
司法統計年報によると新しく訴えが提起される事件は増加傾向にあり、平成7年には484件でしたが、現在は1,000件と突破しています。

診療科目別では内科・外科がワースト
年間の訴訟件数は内科と外科、それに続く整形・形成外科がワースト3となっています。医師1000人当たりの件数では産科医が上回っており、なり手不足の一因とされています。

近年の医療訴訟の傾向
福島県立大野病院事件の無罪判決以降、「何故これで訴えられるのか」と医療側がその争点に不信感を抱くような訴訟は減ってきています。患者側の弁護士もカルテを精査したり、第三者の医師に相談して、医療の実情を勘案するようになってきました。

医療過誤に対する「民事処分」と「刑事処分」の違い
民事処分では、医療機関に対して、患者に発生した損害の賠償を求める一方、刑事処分では国として医療側の社会的責任を追及すべきか否かが判断されます。

刑事事件として扱う問題点
医療行為によって生じた結果から遡って過失の有無を検討するため、結果回避義務を認定されやすく、処罰が拡大するという恐れがあります。

医事紛争処理委員会の役割
医師会の会員から医療事故の報告を受けた際に、患者側と交渉したり、弁護士を選任して解決にあたる委員会で、各都道府県や地区の医師会に設置されています。

医療ADR(裁判外紛争解決)の役割
医療裁判は患者と医療側の双方に長期にわたって、精神的・金銭的な負担を強いるため、近年は審理期間が短く、費用もかからないADR(裁判外紛争解決)が注目されています。

産科医療補償制度の課題
医療側の過失の有無に関係なく、家族に金銭的な補償を行う日本初の無過失補償制度。訴訟の減少に繋げるためには、克服すべき課題があると専門家は指摘します。

機内でのドクターコールと法的責任
善意に基づいた行為における責任は免除されます。99%は命に関わることがないフライト中のドクターコールですが、心肺停止のケースに備えて、援助を申し出る医師には胸骨圧迫マッサージ、AEDの使用法、人工呼吸などのスキルが求められます。

医療関係者の必読書「医療訴訟のそこが知りたい」
医事紛争を専門とする弁護士7人が、「福島県立大野病院事件」・「杏林大・割りばし死事件」・「川崎共同病院・延命中止事件」をはじめとする47判例のポイントを解説します。

以下に医療に関する法律上のトラブルを医師の観点からQ&A形式にまとめてみました。

がんの疑いがあるも患者が来院せず、手遅れに―医師の責任は?
肝臓病で来院している患者さんの治療の過程で、偶然にも胃がんが疑われました。検査の日程を決めるも、患者さんは当日に来院せず。数ヵ月後に下血を訴えて来院したときにはがんは進行していました。

家族だけにがん告知をした場合、説明義務違反になるか?
患者は精神的に弱いと見受けられたので、末期のがんであることを伝えると今後の治療に悪影響が出ると判断。そこで、家族だけに正確な病名を伝えましたが…。

手術中に発見した転移がんを切除したら、説明義務違反になるか
肝臓がんの手術の承諾を得たうえで、手術を始めたところ、他の臓器にも転移が。放置すると危険な状況になると考え、肝臓の局部とともに転移のみられた箇所も切除しました。

異常体質による死亡事故と医師の責任
胸腺リンパ性特異体質を有している患者に対して、手術のための麻酔を行ったところ、しばらくしてショック症状を呈し、死亡しました。

外科手術に看護師のミスで患者が死亡、医師の責任は?
腹膜炎の手術を執刀した際に、助手の看護師から渡されたメスが消毒されていなかったため、手術後、患者の容体が悪化して、死亡しました。

診断・治療に際しては最先端の医療技術水準が求められる?
患者を治療するにあたっては、最高の技術水準に沿った治療を行わなければ、医師には過失があるとされるのでしょうか?

宗教上の理由で輸血を拒否する患者に輸血を行ったら
肝臓がんの患者が入院してきましたがが、宗教上の信念から輸血は絶対にしたくないと主張。しかし、治療にはがんの切除が絶対で、その際には輸血が必要となります。

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