手術中に発見した転移がんを切除したら、説明義務違反になるか?

担当している肝臓がんの患者さんに、手術の承諾を得たうえで、手術を始めたところ、他の臓器にも転移がみられました。放置すると危険な状況になると考え、肝臓の局部と共に、転移のみられた箇所も切除しました。

転移した箇所について、患者さんの承諾を得ないまま切除を行ったことで、説明義務違反にならないでしょうか?

緊急の場合には説明義務を負わず、患者の承諾なしに手術できる

手術中の患者に別の病巣等が見つかった場合でも、原則として、新たな説明と承諾が必要となり、これを怠って行われた拡張手術等は、違法となります。患者にとって何が有益かは患者自身の価値観によるからです。

ただし、例外的に、緊急事態の場合には説明義務を負わず、患者の承諾がなくても手術ができるとされています。なぜなら、その都度確認を取っていたのでは、手術が手遅れになる可能性があるからです。

質問の例では、転移箇所の切除も行わないと、患者の生命に重大な影響を及ぼすという緊急の状況なので、説明義務違反にはならないといえます。ただし、この場合でも家族が患者に同伴している場合には、代諾を得るべきでしょう。

しかし、後日の紛争を回避するためにも、手術中に転移が確認された場合には、転移部分も切除するとの承諾をあらかじめ得ておくのがベストです。

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