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手技ミスがなくても、検査や手術の実施自体が過失の根拠に

手術や内視鏡などの浸襲的な検査の実施した結果、患者に不測の悪しき結果が生じた場合、その検査や手術がそもそも患者の症例に必要がなかったときには、仮に検査や手術に手技ミスがなかった場合であっても、その検査や手術を行ったこと自体が責任(過失)の根拠になります。

例えば、腰椎椎間板ヘルニアの患者に行った計3回の手術のうち、3回目の手術の必要性が否定された(平成6年)ケースや、小児の先天性鼠径ヘルニア手術で、術式選択の誤りが認められたケース(平成元年)などがあります。

どちらにせよ、本来必要のない医療行為を行ったと判断される場合には、医師の採り得る選択肢から外れるわけですから、患者に十分な説明を行って承諾を取り付けたとしても、医師の責任は免れることはできない点に注意すべきでしょう。

なお、例えば未破裂脳静脈瘤に対するクリッピング術のような予防的手術は、従来患者側に手術のリスクをキチンと説明を行えば必ずしも違法ではありませんでしたが、未破裂脳静脈瘤の破裂の可能性に関する統計的データが見直されるにつれ、手術の適応事態が原則否定される傾向に成りつつあることは留意が必要です。

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