損害の法的評価に際しては、患者の職業、収入等を考慮

患者側の損害の発生が損害賠償請求の要件となることは、当然のことであり、議論する必要もないと思われるかもしれません。しかし、突き詰めて考えていけば、難しい問題が出てきます。

例えば、病院側の手術ミスで下半身不随となってしまった場合、その損害をどのように評価するかということを考えてみましょう。

この先、車椅子生活が一生続くということは取り返しのつかないことであり、そのことを金額的に査定することはおよそ不可能のように思われます。その意味では、損害賠償の制度によって患者の損害が完全に償いきれるものではないことも事実です。

しかし、損害を一定のルールに従って金銭的に評価し、それを持って損害への償いをするという方法をとるしかないこともまた事実です。

損害の法的評価に際しては、被害者の年齢、職業、収入等も考慮のうえ、下半身不随という事故が発生したためにその被害者が失った利益を、金銭的に評価して賠償額を決定するのが一般的な考え方です。

損害の発生について、患者の側にも落ち度が認められる場合には、当事者間の公平を図るために、賠償額が減額されることがあります(過失相殺)。裁判では、患者の受診の遅れや医師の指示に従わずに飲酒を継続していたことにより過失相殺を適用した事例があります。

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