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がんの疑いがあるも患者が来院せず、手遅れに―医師の責任は?

肝臓病で来院している患者さんの治療の過程で、偶然にも胃がんが疑われました。患者さんにはその場で、「ひょっとしたら胃がんかもしれないので、早期に検査を受けたほうがいいですよ」と説明し、検査の予約を入れてもらいました。

しかし、検査当日になっても患者さんは現れませんでした。そして、数ヶ月たったある日、その患者さんが食欲不振と腹部痛、下血を訴えて来院しました。検査の結果はがんがかなり進行していました。この場合、医師の責任はどうなるのでしょうか?

何度も来院を促すなどの努力をしなければ、医師に責任があります

医療行為は医師と患者さん双方による共同行為と考えられ、患者さんは医師からの指示があれば、これに従って診断や治療が適切に行われるように協力する必要があります。

しかし、実際には患者さんが医師の指示を守らないこともあり、その結果、手術のタイミングを逃したり、適切な治療機会を失うことも少なくありません。

この事例のように、がんの疑いという一刻の遅れが重大な結果につながりかねないケースであるにも関わらず、検査日に来院しなかった場合には、医師は患者さんに対して何度から医院を指示、それでも本人が固辞する場合には、家族に状況を伝えるなどの「最大限の努力」が必要となります。

これらの努力を怠って何もせずに手遅れになった場合には、医師の責任が問われることになります。ただし、がんの疑いという予断を許さない状態にも関わらず、検査を受けようとしなかった患者さんにも落ち度がありますので、この点は過失相殺となり、賠償額は減額される可能性があります。

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