患者側が医療過誤を主張した場合の争点と医師の責任

医療過誤の領域では、問題となる医療行為が医療水準(その時点における平均的な医師の専門的技量)を達しているかどうかが、医療機関の責任を検討するうえでの前提となります。

すなわち、医師が行った診断や治療で、患者に何らかの"悪しき結果"が生じてしまった場合、医療水準から見てその結果を予測(予見)できたか否か、また仮に予見できたとして、医療水準から見てその結果を回避できたかどうかが責任のポイントになります。

そこでこのページでは、問診から始まって検査や疾患名に関する診断、治療の実施に至るまでの各診療行為において、医療機関側における「悪しき結果」の予見可能性と回避義務がどのように争われるのかを見ていきます。

問診義務違反
問診義務違反が単独で医師の責任の根拠とされる多くのケースは、悪しき結果を回避する場面で問診を怠った場合で、なかでも投薬の副作用の事例が多くなっています。

検査義務違反
検査技術の発達により、従来と比較して非浸潤的な検査で確定診断がつく疾患が増えたため、裁判所が医師の検査義務違反の責任を認める傾向がますます強くなっています。

診断内容の誤り(見落とし)
画像検査を行った際に異常陰影を見落とした結果、後に重大な疾患が判明したなどの医療過誤事例は多くあります。

不必要な検査や手術の実施
手術や内視鏡などの浸襲的な検査の実施した結果、患者に不測の悪しき結果が生じた場合、その検査や手術自体が患者の症例に不必要だったときは、仮にミスがなかったとしても医師の責任は免れません。

侵襲的検査や手術における手技ミス
内視鏡などの浸襲的な検査や手術の過程における手技ミスは、医療過誤が起きれば医師は過失を争うことが難しくなります。

経過観察義務違反
入院中、術中、術後などの患者の状態の悪化に対して責任が問われるもので、褥瘡(床ずれ)の管理などの患者管理のほか、院内感染の防止など施設管理の問題も含まれます。

療養指導義務違反
医師が患者の「悪しき結果」を予測できる場合は、医師は適切なアドバイスをしておかなければ責任に問われる可能性がある点に本質があります。

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